■社会復帰への路

労働市場から隔離された人々の復帰に向けた様々な取組みがある。その中で、社会復帰を目指す者とそれを受け入れる雇用主側の双方に焦点を当てるとするならば、共通するのは「覚悟」である。いわゆる求人企業と求職者のニーズ、価値観が合致するという転職市場の次元では容易に語れない。なぜなら、社会復帰というハードルが関係性の如何によって一瞬で変化するためである。この世に生を受け、誰が犯罪者になると想像しただろうか。結果責任の原則だけでの議論からは何も生まれない。様々な外部環境要因の中で恵まれなかったことも事実としてある。リスタートに向けた社会復帰者も「自分を受け入れてくれるのであろうか?」という不安を抱えている。このリスタートの受け皿となるべく立ち上がる雇用主も、受け入れ態勢が適切か否かという課題に直面する。まるで親と子の関係を想起させる。「覚悟」。簡単ではない。ただ、このそれぞれの挑戦は、行動しなかった者には成し得ない新しい未来を創造することは明白である。