■売り手市場?売れ残り市場
昨今の少子高齢における人材不足は、企業の資本である労働力確保に大きな打撃を与えている。これを一般的には「売り手市場」と呼ぶ。しかし、求職者においては大きな誤解を生じさせているので避けていただきたいと感じている。実情として売り手市場の対象となる人材は代替できないスキルを保有する一握りであり、その他多くが転職難民である。つまりは、「売れ残り市場」とも捉えることができる。求職者優位で選べる立場であるという錯覚から、自身の社会的価値がどのように評価されるのか、評価してもらうためにどのように価値を高めるべきかという本質部分が盲目となっている。「いい仕事を紹介して欲しい、キツイことはしたくない、休みは多く欲しい、それでも給与は高く欲しい」という短絡的、自我欲求の極みである。人材不足の企業もこのような人材を雇用の対象とはしない。このスタンスの求職活動者は労働市場から淘汰される。市場の中で生き残る労働者として今まさに問われているのは、今は選べる立場ではないかもしれないという前提で臨むこと、そして入社してからいい会社に巡り合えたと思えるようになるために自ら意識も価値観も変えて全力で取り組む覚悟を持つこと。これが、売り手市場の定義から溢れたマジョリティに求められる共通スタンスであることは間違いない。その価値観を受け入れる企業はある。
