■【コンサルタントの自省】不信は「途絶」であり、懐疑は「真理」への道である。

自衛官時代、ある指揮官から受けた訓示が、組織・人事コンサルティングの現場に立つ今の私を支えている。

「俺を好きになれ」

この言葉の本質は、単なる精神論ではない。リーダーが部下に対し「俺はお前の人生を預かる覚悟がある。だからお前も俺を信じる覚悟を持て」という、命懸けの信頼関係の要請であった。

離職という経験から学んだ「問い」

経営者であれば誰しも、社員との価値観の相違に直面する。私自身、かつて組織を率いる中で離職を経験した。社員が去っていくとき、経営者の心には「なぜ理解してくれないのか」という不信感が芽生えることもある。しかし、今、一人法人として自分自身を省みたとき、至った結論がある。

「私は、彼らが『懐疑』のプロセスに踏みとどまれるだけの、器を用意できていただろうか」

人は、相手への違和感を抱いたとき、安易に「不信」へと逃げてしまいがちである。だが、その不信を生ませた一因は、リーダーである私自身の「信じさせる覚悟」の不足にあったのではないか。

「不信」と「懐疑」を分かつもの

私がクライアント企業の組織課題に向き合う際、自分自身の痛みを伴う経験をベースに、以下の視点を提示していきたいと考える。

  • 不信とは「途絶」である。 相手を拒絶し、対話を諦める状態。不信感を抱いて去る者、あるいは去らせてしまう組織に、その先の発展性はない。それは思考停止であり、関係の死を意味する。
  • 懐疑とは「真理の探求」である。 生じた違和感に対し、「なぜこの相違が起きるのか」「この組織をより良くするためのサインではないか」と問い続けること。それは、より高い次元の解決(solution)に到達しようとする前向きな知性の働きである。

かつての私は、社員の懐疑を受け止めきれず、結果として「不信(途絶)」へと向かわせてしまったのかもしれない。その事実は、コンサルタントとしての私の消えない教訓である。

株式会社Rac solutionの使命

経営において、不信感が生じるのは人間として自然な反応である。しかし、コンサルタントとしての私の役割は、まず経営者自身がその不信を「懐疑」へと転換できるよう伴走することである。

「なぜ、信じることが難しくなったのか」 その問いを他者に向ける前に、自分自身に向けること。そこからしか、組織の真の解決(solution)は始まらない。

あの指揮官が説いた「信じる覚悟」を、今の私は別の形で持ちたい。 クライアントと共に悩み、問い続け、不信で終わらせない組織を創ること。自らの失敗すらも糧にして、誰よりも経営者の孤独に寄り添うこと。それが、株式会社Rac solutionの揺るぎないスタンスである。